「雑黒」(ざつぐろ)
「雑黒」とは、大きな黒い布のことです。
地味ながら舞台演劇においてとても重要なアイテムで、
明かりの漏れを隠したり、道具を隠したり、見切れを隠したり、
退場する俳優を隠したり、舞台上にいる裏方を隠したり、
様々な幕として使ったりと、いろいろな用途で活躍しています。
素材は袖幕より薄地で、切目を入れれば手で裂ける程度。
色合いも漆黒・純黒というほど深い黒ではない物がほとんどです。
つまり、品質よりも安さ、という考え方で用意されることが多く、
まとめて買うと安いため、
多くの場合、劇場や劇団などの倉庫のような場所に
大きな巻物のような形(原反)で置かれています。
名前の由来は定かではなく、
「漆黒でない雑な黒」「縫い目の雑な布」「雑用に使う為の布」など、
いろいろな理由が想像できますが、
何れにせよ大切な布ですので、雑には扱えないものなのです。