「ウェルメイド・プレイ」(well-made play)
「ウェルメイド」(well-made)とは英語で「出来や構成が良い」という意味の言葉です。
「プレイ」(play)は演劇のことを表しますので、辞書的に説明するのならば、
「ウェルメイド・プレイ」とは「上手く作られた劇」という意味となり、
他にも「ウェルメイド・プロット」(well-made plot)=「上手く作られた脚本や構想」という言葉もあります。
演劇のジャンルや、作品の質・傾向として用いられる場合の「ウェルメイド・プレイ」とは、
脚本や作品の構成が巧みで、物語の展開を楽しむような、論理的な印象の演劇を意味します。
例えば、登場人物が様々な事件で右往左往することで話がふくらみ、
クライマックスで一点に収束するような物語がウェルメイド・プレイです。
日本では三谷幸喜が代表的な作家と言えばわかりやすいでしょうか。
ウェルメイド・プレイは、元々19世紀中頃のヨーロッパに端を発するもので、
基本的には「筋が良くできているだけで中身がない」といった感じの、
侮蔑的なニュアンスを含んでいます。
しかし、わかりやすく一般のファンでも気軽に楽しめるという側面もあり、
難しい・堅苦しいという印象の古典芸能や新劇、アングラ劇、
または極めて類型的な商業演劇、大衆演劇などが中心だった日本において、
現在のように舞台演劇を多くの人々にとって身近なものにしたという、
大きな功績があるとも言えそうです。