「ボードビル」(vaudeville)
「バラエティ」(variety)
「バーレスク」(burlesque)
「ボードビル」とは、元々はフランス語の「vaudeville」で、
歌や踊り、劇などを織り交ぜて舞台で演じられる
娯楽的な演芸やショーなどのことを意味します。
具体的には、アメリカの大衆的なショー・ビジネスの世界で上演されているもの、
という認識が現在のところ一般的であると思われます。
喜劇的なショーといった意味でのボードビルは、
18世紀のフランスなどヨーロッパで大流行、
またアメリカでは19世紀末から20世紀にかけて全盛期を迎えています。
なお、イギリスでは同様の娯楽的なショーは「バラエティ」と呼ばれます。
バラエティは主にミュージック・ホールで上演され、
こちらは旅をしながら公演を行うサーカスに由来していると言われます。
さらに、イタリア語が語源の「バーレスク」(burlesque)も、
本来は演劇作品などをもじったり、茶化したり、風刺したりすることを意味しますが、
それらの興行自体のことを指して用いられることもあり、
するとこれも、やはり喜劇的なショーといった意味合いになります。
このように、「ボードビル」「バラエティ」「バーレスク」の具体的な定義は非常に難しく、
同じ英語圏でも、アメリカで「ボードビル」と呼ばれるものが、
イギリスでは「バラエティ」と呼ばれるなど、その境界は非常に曖昧で、
国や地域によって使い分けられているような印象です。
日本での用いられ方を考えてみると、
「バーレスク」は、アメリカにおいてストリップ(striptease show)を意味するため、
日本でもキャバレーや初期のストリップでのショーをバーレスクと呼び、
ダンサーがバーレスク・ダンサー(Burlesque Dancer)と呼ばれることもありましたが、
現在では、3つの中で最も耳にしない言葉になってきている印象があります。
一方「バラエティ」は、「変化に富む」という英単語の意味も持ち込まれ、
舞台に限らず、テレビやラジオなどの娯楽番組にも用いられるようになっていますね。
そして「ボードビル」は、浅草オペラに取り入れられたり、
佐藤B作や山口良一の「劇団東京ヴォードヴィルショー」、伊東四朗などの印象が強く、
浅草を中心とした東京下町の舞台や、寄席の喜劇の印象が強いのではないでしょうか。