悲劇

「悲劇」(ひげき)

「悲劇」は、喜劇の対義語で、
一般的には不幸・悲惨な出来事を意味しますね。
演劇などの物語においても、不幸や悲惨なことを題材とし、
破滅や敗北に終わる話という解釈が一般的ですが、
不幸な結末=悲劇かというと、必ずしもそうは言えない面もあります。

「悲劇」は英語で「tragedy」(トラジェディー)。
これは古代ギリシア語で悲劇を意味する「tragoidia」が語源です。
「tragoidia」は「ヤギ(tragos)」の「歌(oide)」から生まれた言葉で、
なぜ「ヤギの歌」が悲劇を意味するかというと、
当時の悲劇俳優がヤギの皮を着ていた、
コロス(古代ギリシアの合唱隊)がヤギの扮装をしていた、
ヤギが生贄にされていた等と、その由来には諸説あります。
そして、古代ギリシアにおいての悲劇は、
ディオニソス神(バッコス)への捧げであったと言われており、
祭儀=悲劇という解釈が一般的となっています。

またアリストテレスは、悲劇のことを
「同情と恐怖を通じてカタルシスを達成する」と定義しています。
つまり、こうした点から考えてみても、
悲劇とは単に不幸なエンディングを迎える劇という形式的なものではなく、
「人間や人生を悲壮さ・崇高さの面からとらえ、
受難とそれへの闘いの過程を厳粛に表現した劇」(大辞林より引用)であることがわかりますね。

そして悲劇は、一般に「運命悲劇」と「性格悲劇」に大別されます。
(「境遇悲劇」を入れて三分する場合も)
「運命悲劇」とは、個人の意志と運命との争いや、
運命に翻弄される人を描いたもので、ギリシア悲劇に代表されるもの。
一方の「性格悲劇」とは、人間の性格に由来するもので、
シェイクスピアの悲劇に代表されるものです。

「悲劇」奥付

  • Posted : 2010年7月17日 17:18
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