「通し稽古」(とおしげいこ)
「通し稽古」とは、文字通り作品(上演する演目)を最初から最後まで通して行う、お芝居の稽古です。
口語では、略して「通し(とおし)」と言うことが多いのではないでしょうか。
一幕・一場・ワンシーンずつなど、立ち稽古で細かに稽古を重ね、
ある程度固まってくると、次は「通し稽古」に入ります。
まずはざっと通してみて、全体の流れを見たり、時間を計ったり、
いろいろな問題点を見つけたりするわけです。
その後も、通し稽古の回数を重ねたり、部分部分の稽古をしたり、
各々課題を持ち帰ったりしながら、稽古は進んでいきます。
この「通し稽古」と似た言葉に「ゲネプロ」というものがありますが、
「ゲネプロ」は、すべてを本番同様に行う稽古であるのに対して、
「通し稽古」は、単に最初から最後まで行う稽古のことを指します。
ですから、立ち稽古が一段落して「ざっと通してみようか」という段階の
「粗通し稽古」から、照明や音響などの裏方も参加して行う、
本番に近い「通し稽古」まで、いくつかの段階があることがほとんどです。
そして、芝居はもちろん裏方の準備も整い、公演が近づいてきたところで、
最後にゲネプロやプレビューが行われるといった感じになります。
つまり、「通し」は必ずしも作品のすべてを通して稽古するとは限らず、
例えば「2幕の通し稽古」と、幕ごとに切るなどの方法もあります。
ですから、その演目や演出家によって、その方法も多様な稽古と言えそうです。