「ト書き」(とがき)
「行間を読む」(ぎょうかんをよむ)
戯曲や脚本で、俳優の動作を示した文章を「ト書き」と言います。
現在では映像・舞台関係なく使われているこの「ト書き」は、
歌舞伎の世界から生まれた言葉です。
歌舞伎の脚本で、台詞と台詞の間に書かれた役者の動きを指示する文章には、
必ず頭に「ト」が付いていました。
「ト上手へ退場する・・・」「ト急に辺りが賑やかになる・・・」
といった感じですね。
この事から、「ト書き」と呼ばれるようになりました。
また現在は、俳優の動きだけではなく、
場面の状況・音響・照明などの指定など、
俳優の台詞を書いた以外の部分をすべて「ト書き」と言いますが、
言葉の発祥元である歌舞伎では、時代や舞台を指定したものは「舞台書き」と言います。
役者は、台詞と台詞の間、
ト書きでも台詞でもなく、本当に何も書いていない部分を読めと、
演出家などによく言われます。
なぜその台詞を発するのか、なぜその動きをするのか、といった
台本に書かれていない部分、つまり行間を読んで考えることができるかどうかが、
俳優にとって重要な部分というわけですね。