スラスト・ステージ

「スラスト・ステージ」(thrust stage)

一般に言われるスラスト・ステージとは、オープン・ステージの一種で、
舞台が客席に囲まれる形のアリーナ・ステージでもなく、
舞台と客席が向かいあう形のエンド・ステージでもない、
舞台の三方向程度を客席が囲むような形の舞台形式を指します。

しかし、「スラスト(thrust)」は「押す・突き出す」といった意味の英語で、
辞書をひくと「thrust stage」は「張出舞台」と訳されています。
ですから、日本で言う「スラスト・ステージ」は「張出舞台」という意味でも用いられ、
歌舞伎の舞台やエプロンキャットウォークなど、
舞台の一部が客席に突き出した、明確な張り出し舞台のことを
スラスト・ステージと言う場合もあります。

ちなみに欧米では、
「スラスト・ステージ」は「オープン・ステージ」とほぼ同意で用いられており、
プロセニアム(額縁)のない、フラットな舞台の形全般を表す場合が多くなっています。
しかし上述したように、舞台を客席に囲まれている場合、
例えばサッカーやバスケットボールなどの競技場のような形式は「アリーナ」と言いますので、
四角い劇場であれば三方までを客席に囲まれた形の舞台が「スラスト」です。

舞台制作に携わっている方以外には、なんだか難しい話だと思いますし、
たいして差があることではないと思いますが、
それぞれジャンルや国によって歴史や文化があり、
それを翻訳するときに生まれた言葉の差異なのでしょうね。

「スラスト・ステージ」奥付

  • Posted : 2008年11月17日 17:41
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