鉄砲席

「鉄砲」(てっぽう)
「鉄砲席」(てっぽうせき)

劇場の客席において、一階席の中央で、かつ前方の良い席を「鉄砲」、または「鉄砲席」と言います。

この「鉄砲」は、いわゆる拳銃などの鉄砲のことです。
まだ劇場が椅子席でなく、劇場が興行を仕切っていた時代、
関係者のために突然ズドンと席を取ったことが語源だと言われており、
現在でも一般にチケットを販売せず、急に観劇する関係者のために取っておく席のことを
「鉄砲」と呼ぶことが多いようです。

ところで、主に関西ではフグちり鍋のことを「てっちり」、フグ刺しのことを「てっさ」と言いますよね。
これは、フグは食べて当たると死んでしまうこともあることから「フグ」が「鉄砲」と呼ばれるようになり、
「鉄のちり鍋」→「てっちり」というように生まれた言葉なのですが、
劇場の鉄砲席も、舞台上から鉄砲を撃ったら当たるほど舞台から近い位置にあることから、
「鉄砲席」と呼ばれるようになった、という俗説もあります。

なお、具体的にどの辺りの席を関係者席に充てているかというと、
地域や時代、興行などによって多少違いがあり、
劇場で最も見やすいとされる8列目辺り、いわゆる「とちり」の場合もあれば、
最前列などの「かぶりつき」のことも。
また逆に、あまり見やすいとは言い難い席、例えば前列の上下の席(両端)を
関係者のために空けておくというケースもあるようです。

「鉄砲席」奥付

  • Posted : 2011年1月23日 16:07
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