「手締め」(てじめ)
演劇の世界だけではなく、様々な場所で使われる「手締め」。
この「手締め」は、商談が成立したときや、
様々な物事における和解・決着などの「手を打って締める」という言葉が語源で、
お互いに手を打ち「そこまでを一段落とする祝い事(セレモニー)」を
「手締め」と呼ぶようになったようです。
さて、関東での演劇界における「手締め」は、
三本締め・一本締め・一丁締めの三種類が主に使われていると思います。
「一本締め」は「いよぉ〜」の掛け声の後に、
「パパパン パパパン パパパン パン」
これが三回続いて「三本締め」
「一丁締め」は「よぉ〜っ、パン」
この三種類の手締め。どう使い分けるかと言うと・・・
「三本締め」は、千穐楽など本当に全てが終わったときに使われます。
全てめでたく、無事で、ご苦労様、という感じでしょうか。
「一本締め」は、稽古終了時や中締めなど、まだまだ先があるときに、
今日まで大変でしたが明日からもより一層頑張りましょう!という感じで使います。
「一丁締め」は、一本締めをしたいけれど、
時間や場所の都合上、一瞬でという時に。
他にも、打ち上げの席で他のお客様の迷惑にならないように、
両手の人さし指同士だけで打つ手締めや、
人さし指同士から始まり、二本目は人さし指と中指、
三本目で手の平を使うというクレッシェンドな手締めもあります。
ここでご紹介した手締めは、東京での方法(江戸締め)であり、
狭い日本でも、土地によって地方ごとの風習があるようです。
例えば大阪には「大阪締め」という、愛嬌のある手締めがあります。
「打〜ちま〜しょ (パン パン)
も〜一つせ (パン パン)
祝(い〜お)うて三度 (パパンパ)
オメデトウゴザイマス〜(拍手)」というものです。
さて最後になりますが、手締めの一本がなぜ
「パパパン パパパン パパパン パン」なのかと言うと、
語源である「手締め=手打ち」から由来しています。
三回を三度打つと(パパパン パパパン パパパン)合計「九回」。
「九」に一本打つと(パン)、「丸」という字になるということで、
「全てが丸く収まった」という意味になるのです。
ちなみに、手締めの始めに言う「いよぉ〜」という掛け声も、
「祝おう」が訛ったものだと言われています。
つまり、丸く収まったのを祝うのが「手締め」ということですね。
「手締め」は伝統や文化に則ったものですので、
時と場合を間違えると思わぬ恥を掻きかねません。
みなさんも、歓送迎会などで気をつけてくださいね。