「立ち回り」(たちまわり)
「立ち回り」と言うと、
時代劇などの殺陣(たて)や剣術のシーンを想像される方が多いかもしれませんが、
演劇や映画の世界では、アクションシーン全般のことを「立ち回り」と言います。
今では世間一般にも広まり、普段の喧嘩や乱闘でも使われる言葉になっていますね。
元々「立ち回り」は、舞や踊り以外の、芝居の振る舞い(動き)すべてを指す言葉でした。
その後、狂言の世界で、動きの激しい(合戦などがある)作品を
「立ち廻り狂言」と呼ぶようになったことから、
アクションシーンを「立ち回り」と呼ぶようになっていきました。
そのため、旧字ながら今でも「立ち廻り(立廻り)」と表記することが多いようです。
立ち回りの場面は、観客の人気が高いため、歌舞伎にはほぼ必ず含まれますし、
捕り物や大勢が入り乱れての乱闘シーンなどは、
特に「大立ち回り」と呼ばれ、物語のクライマックスに多用されていますよね。
しかし、この「立ち回り」に必要なアクションや、剣術、殺陣などは、
付け焼き刃で出来るものではありません。
役をもらってから魅せる立ち回りを出来るようにするのは難しいことなので、
アクション作品や時代劇を志す俳優(特に男優)は、
予め習っておいたり、普段からの鍛錬が重要になるのです。
ちなみに、能の所作にも「立ち回り」と呼ばれるものがあります。
これは、笛や囃子を伴いながらシテが舞台を一巡する所作のことで、
このときの囃子のことを指す場合もあります。