「素読み」(すよみ)
「素読み」とは、俳優の稽古方法の一つで、
台本を受け取り、まだ内容がわからない段階で行う稽古のことです。
「素読み」のやり方は、読んで字のごとくなのですが「素で読む」、
つまり意味や内容を考えず、抑揚や感情も入れず、
ただ文字だけを声に出して読むことです。
言葉としては「素読(そどく)」「素読み(そよみ)」という言い方もありますが、
俳優の稽古として行うものは、たいてい「素読み(すよみ)」と言います。
ニュアンスとしては「棒読み」と同じ感じでしょうか。
台本には、小説のような心理描写はほとんど書かれておらず、
セリフと場面の説明だけが書かれていますので、
行間から役を感じ取っていく作業が大変なのです。
もし正しく理解しないまま、自分が与えられた役に感情移入したりしてしまうと、
修正の効かない泥沼へと旅立ってしまうのです。
まずは本を理解し、その後に自分の与えられた役柄を考えることが大切というわけですね。
もちろんこの稽古方法が必ずしも最適で、一般的というわけではありませんが、
現代劇では、稽古の初期段階においてよく使われている方法だと思います。
「素読み100回」などという言葉もあるほどです。
ちなみに宝塚歌劇団では、顔寄せ(集合日)に初めて台本を渡され、
その場で全員役ごとに読み上げる「本読み」を行います。
基本的には、おそらく素読みと同じ意味合いで行われているのでしょうね。