「正念場」(しょうねんば)
歌舞伎や浄瑠璃で、その役の「性根」を最もよく発揮する場面、
または1曲・1場のうち、最も大切な場面のことを「性根場(しょうねば)」、
もしくは「性念場(しょうねんば)」と言ったそうです。
「性根」を表す「場」ということですね。
これが転じて、「ここぞ!」という大切な場面を表すことを
「正念場」と言い、広く一般になっていったと言われています。
今では歌舞伎などにおいても「性念場」などと表記することは少なく、
同様の意味ということで「正念場」と書くことが多いようです。
また、「正念」とは仏陀の説法の中に出てくる仏教語で、
雑念を払って真理を思うことや、雑念をなくした安らかな心などを表します。
ここから「正念」が必要な「場」ということで
「正念場」という言葉が生まれたという説もあります。
つまり、仏教用語が演劇の世界で取り入れられ、
さらにそれが一般的な言葉として世に広まったということでしょうね。