「仕出し」(しだし)
単に「仕出し」というと、注文に応じて料理を作り届ける、
「仕出し料理」「仕出し弁当」という意味で使われることが多いですが、
演劇界では、いわゆる端役のことを「仕出し」と言います。
歌舞伎の脚本に、
「仕出し多勢わやわやと通り過ぎ」
「そこへ若衆の仕出し数人が」
などと書かれているように、
「仕出し」とは、物語の中で役名もない程の端役のこと、
及びその役を務める俳優のことを表します。
つまり「仕出し」は、
通行人や群衆など、舞台の雰囲気を作るための役割のことで、
映像業界で言えば、エキストラ(extra)と同じような意味あいでしょうか。
「仕出し」という言葉自体は、
元々は歌舞伎で使われていたもので、それが広く演劇・映画界に広まったようです。
たくさんの役柄をこなし、
注文に応じて様々な雰囲気を作り出す「仕出し」。
端役ではありますが大切な存在ですよね。
ところで、このように演劇界では端役のことを「仕出し」と言いますが、
公演中は仕出しのお弁当などが用意されることもあります。
「仕出しの準備は?」などと問われても、
意味を取り違えないように注意してくださいね。