「迫り」(せり)
舞台設備の一つで、
劇場の舞台床面の一部が、そこだけ切り取られたように上下(昇降)する
仕掛け(舞台装置)のことを「迫り」と言います。
「迫り上がってくる」という意味から名前の付いた舞台装置「迫り」は、
演出効果を高める役割の他、
場面転換のスピードアップや、立体感のある舞台装置の要としてなど、
多種多様な活躍をしています。
大きい武家屋敷などが、舞台の下からド〜ンと上がってくる・・・
そんな大がかりな舞台転換は感動しますよね。
これは、次の場面のセットが奈落に出来上がっており、
迫りを利用するからできることなのですね。
「迫り」は、江戸時代の宝暦年間(1751〜1764)の頃に出来たものと言われています。
現在の「迫り」は電動式で、
「最大重量○○トン」「スライド式で舞台装置5セット組めます」
などとハイテクな劇場が増えていますが、元々はもちろん手動。
お客様を感動させるための努力とはいえ、頭が下がる重いです。
また、残念ながらこの「迫り」における事故というのも存在し、
落下してしまったり、機械にはさまれてしまったりしてなど、命を落とした方もいらっしゃいます。
舞台に関わる方は気をつけてくださいね。
なお、この昇降装置の中でも、本舞台にあるものを「迫り」と呼び、
歌舞伎などで花道にあるものは「すっぽん」と呼びます。
また、オーケストラ・ピットがある劇場で、そのオケピの部分が迫りになっているものは
「オーケストラ迫り」と言います。