「千両役者」(せんりょうやくしゃ)
人気も実力も申し分のない役者を「千両役者」と呼び、
一般社会でも、何かの分野において際だって秀でた人や上手な人などを
呼ぶ言葉として使われていますよね。
この「千両役者」という言葉は、
元々、江戸時代の歌舞伎の世界から生まれたものです。
言葉の意味は文字通りで、
当時、一年ごとに興行主と契約を交わしていた歌舞伎俳優のうち、
一年間で千両近く稼ぐ程、人気も実力のある役者を「千両役者」と呼んだことからきています。
江戸時代は長いですし、貨幣相場も変化していましたので、
千両を今のいくらとは置き換えづらいですが、
「十両を盗むと死罪」という法律があった時代もあるほどで、
千両が相当な大金であったことが想像できますね。
と言っても、あまりピンと来ない方が多いと思いますので、
強引に現在のお金に換算してみると、ざっくり見積って一両が5〜10万円ほど。
千両なら5000万〜1億円といったところでしょうか。
こう考えると、現在のスター俳優と同じくらいの感覚かもしれませんね。
このように、当初は年棒としての言葉だった「千両役者」ですが、
やがて「人気・実力」というカリスマ的な意味あいが濃くなり、
実際の報酬とは関係なく、周囲を魅了する人や、
対価を支払うだけの能力や魅力のある人に対して使われるようになったようです。