「さくら」(サクラ)(桜)(偽客)
お客様を煽るため、煽動的な言動をする人、
店や興行主が、客寄せなどのために仕込んだ偽の客を「さくら」と言いますよね。
この人たちをなぜ「さくら」と言うのか、
語源には諸説ありますが、花木の「桜」から来ているのは間違いなさそうです。
桜の花は、パッと咲き、パッと散る。
風流なところが日本人に愛される所以と言われますよね。
演劇界では、江戸時代の歌舞伎の興行で、派手な呼び込みをする人や、
大向こうのように無料で観劇する代わりに役者に声をかける役割の人は、
パッと現れ、パッといなくなるような印象を与えていたようで、
(実際にいなくなったわけではないと思いますが)
こうしたところを桜の花に例え「さくら」と呼ぶようになった、というのが一説です。
また、桜の花見は通常無料ですよね。
この呼び込みや大向こうの人たちは、無料で観劇していたため、
これを例えて「さくら」と呼ぶようになったという説もあります。
そして「さくら」と言えば、
バナナの叩き売りのような口上売りの露天商を思い浮かべる方が多いかと思います。
露天商で売り手とやり取りする「さくら」も、
パッと現れ、パッといなくなるというお芝居と同じ理由により、
こちらが語源だという説もあるようです。
(芝居の世界で使われていたのが、露天商に転じて使われるようになったとも言われます。)
ちなみに、「さくら」を漢字で「偽客」と書くのは、露天商業界の当て字です。
露天商での「さくら」は、当て字の文字通り「偽の客」、
「やらせ」「おとり」で、売値をつり上げるという
良くないイメージが強いかもしれませんが、
お芝居での「さくら」は、興行や芝居を盛り上げ、
観劇するお客様も一緒に舞台を創るもの、という観点もあるように思います。
「さくら」というネーミングも、桜の花の瞬間の美から生まれた言葉のようですし、
案外、良い意味で名付けられた言葉かもしれませんね。