「プロローグ」(prologue)
「エピローグ」(epilogue)
小説などで、本編が始まる前の前置きの部分を「プロローグ」、
本編が終わり、結びの部分を「エピローグ」と言いますよね。
これらの言葉は舞台演劇においても同じように用いられ、
日本語に訳するならば「序章」「終章」、
もしくは「序幕」「終幕」といった感じでしょうか。
語源は、英語の「prologue」「epilogue」で、
日本語とほとんど同意で使われています。
さらにこれら英語の語源は、紀元前ギリシア時代の言葉に由来しており、
プロローグやエピローグも、他の多くの演劇文化と同じように、
ギリシア時代からの様式であることが伺えます。
さて、舞台演劇におけるプロローグには、大別して2つのパターンがあります。
1つは、芝居の本編に入る前に、口上役が物語の背景などを説明するもの。
これは「前口上」と同意で、狂言回しがその役割を担う場合が多いのではないでしょうか。
もう1つは、本編とは別の1シーンを設け、物語へのイントロダクションの役割を果たすパターン。
この場合、本編は回想や空想のシーンであるなど、劇中劇の形であることが多いのではないでしょうか。
一方のエピローグも、芝居の最後にプロローグの時と同じような
2つのパターンで用いられることが多いと思います。
1つは、口上役が物語を締め、後日談などを語ってまとめるパターン。
この最後に語られる口上のことを、
プロローグで語られる「前口上」に対して「納め口上」と言います。
もう1つは、芝居の本編から回顧などをしている現実の世界に戻ってくるパターンですが、
このいわゆる夢オチのような手法を舞台で用いると、
芝居の本編が終わり「現実に戻ってきた」と感じる観客は、
その後芝居の幕が下りると、本当に現実の世界に戻ることになり、
二重に別世界を味わうことができるわけです。
映画などの映像とは違い、視覚で完全なる別世界を築きにくい舞台演劇では、
プロローグやエピローグを用い、少しずつ観客をその世界に誘うよう工夫を凝らしているのです。