立役・女形

「立役」(たちやく)
「女形」(おやま・おんながた)

歌舞伎は男性だけで上演される舞台ですが、これは1629年、
江戸幕府が女性の舞台出演を禁止したことに端を発します。
以後、歌舞伎では男女の役を「男方」「女方」と呼ぶようになり、
後に「男方」は「立役」、「女方」は「女形」と言われるようになりました。

元々「立役」とは、立って踊り演じる役者の総称で、
舞踏などでは現在もそのままの意で使われます。
歌舞伎では、座って演奏する地方(じかた)に対し、
立役は舞台の華(主役)であったため、男社会だった江戸時代、
主役を演じる男方を「立役」と呼ぶようになり、
やがて男方=立役になったと言われています。
またそこから転じ、多くの作品で主役である
常識ある善人の男性のことも「立役」と言うようになりました。

一方の「女形(おやま)」は、元々上方で遊女を指す言葉で、
歌舞伎が普及し始めた頃と同じ1650年代、小山次郎三郎という人形遣いが
芝居で使った遊女の人形「女形人形」が広めたものと言われています。
そのため「女形(おやま)」は、人形劇での女方(女の人形)のことや、
姿が美しい女性のことも意味しますが、
語源ゆえに蔑称であると捉える場合もあるので注意が必要です。

また、「女形」は「おんながた」とも読みますが、
対義語として男のことを「男形(おとこがた)」という言い方もあります。
こちらは単純に男女の役者や役柄を指す意味合いです。

「立役・女形」奥付

  • Posted : 2008年5月25日 15:21
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