「置き道具」(おきどうぐ)
小道具の用語で、大きい物(家具など)から小さい物(灰皿など)まで
舞台上にある移動可能な小道具を指す言葉です。
「置き道具」は、舞台演劇に限らず
テレビや映画の世界でも同じように使われるもので、
「置道具」と表記したり、「出道具」と言う場合もあります。
舞台においての「置き道具」は、
小道具さんが時代背景を考察したり、
演出家・美術家の要望に合わせたりして集められます。
集まった道具は、それひとつを見ると
作品にマッチした「正にこれだ!」という物であっても
実際に道具を置いて稽古をしていくと、
使い勝手が悪かったり、
芝居の間尺に合わなかったり、
俳優が上手く使いこなせなかったり・・・
さらには、いざ劇場へ入ってから演出家に
「この場面の照明、この色でいきたいんだけど、
あの家具の色、変えられるかなぁ。」
なんて言われてしまうことも。
劇場のお茶場に胃薬がある場合も珍しくありません。
また、別欄「ばみる・ばみり」でも触れていますが、
道具は細かく計算されて配置されています。
例えば、自分の家での日常生活を描いた場面では、
俳優には、目を閉じても行動できるような自然な動作が求められます。
その自然な演技のために
「置き道具」は必ず決まった場所になければならないのです。
朝起きたら醤油の置き場所が変わっていた、
なんてことはあり得ませんものね。
裏方の仕事は、緻密な細かさが求められる厳しい仕事なのです。