「二の舞を演じる」(にのまいをえんじる)
他の人と同じことをすること、
その中でも特に、他の人がしたのと同じ失敗をくり返してしまうことを
「二の舞を演じる」と言いますよね。
この「二の舞」は、単に「二度目の舞」ということを表しているのではなく、
雅楽における演目を指す言葉です。
雅楽に「安摩」(あま) という楽曲(舞楽)があります。
この話の中で、「安摩」の舞人が舞を終えた後、
咲面(さきめん)と腫面(はれめん)という舞楽面をつけた醜い爺婆が登場し、
「安摩」の舞を真似て舞おうとするものの、上手く舞うことができず、
その様子が滑稽であるため、観客の嘲笑を買うという場面があります。
この「安摩」に対する答舞の舞楽を「二の舞」と言い、
この話の内容から、二の舞を演じるというのが真似をして失敗することを指すようになり、
やがて一般的に使われるようになったのです。
安摩では、先人は失敗しているわけではありませんが、
少し意味が変わって慣用句のように用いられている感じですね。
ちなみに、「二の舞を踏む」という表現は
おそらく「二の舞を演じる」と「二の足を踏む」という言葉が混同されたもので、
日本語としては誤った使い方になります。
この「二の足」というのは、足の歩みの二歩目のことで、
つまり「二の足を踏む」とは、一歩目は踏み出したものの、二歩目をためらって足踏みをすることから、
物事に挑むとき、決断ができずに尻込みしてしまう例えとして使われる言葉です。