「ネタ」(ねた)
物事の材料や証拠を意味する「ネタ」。
手品や奇術では仕掛け、
漫才や落語、コントなどでは作品(演目)やその台本のことを指し、
そこから派生して、おもしろおかしい作り話のことを
「ネタ」と言うこともあるかと思います。
この「ネタ」という言葉の語源は、芸能界の「逆さ言葉」(倒語)です。
「ネタ」を逆さにすると「たね」、
つまり物事の原因や材料を表す「種」が元の言葉なのです。
「種も仕掛けもございません」と言って手品を披露した後、
「種をバラします」と言うよりも、
「ネタをばらします」と言う方が自然なくらいですよね。
これほど一般化した「逆さ言葉」も珍しいのではないでしょうか。
現在でも「逆さ言葉」は芸能界で使われていますが、
その歴史は古く、江戸時代からあったと言われています。
本来、逆さ言葉は部外者に漏れない為に使う隠語であるはずなのですが、
「ネタ」という言葉に関しては、元の「種」よりも「ネタ」の方が一般的になってしまい、
もはや隠語や業界用語とは言えない感じになっています。
他にも、「札」をひっくり返した「ダフ」から生まれた「ダフ屋」、
「宿」をひっくり返した「ドヤ」を使った「ドヤ街」など、定着している逆さ言葉もありますが、
やはり隠語という雰囲気は残されていますよね。
その辺りを考えてみても、「ネタ」という言葉は、かなり特殊なケースなのではないでしょうか。