「奈落に落ちる」(ならくにおちる)
「奈落」とは、「地獄」を意味する梵語が語源で、
回り舞台などを動かしている人達が働く、舞台の下にある空間のことです。
さて、「奈落に落ちる」「奈落に沈む」という、
不幸のどん底に辿り着くといった意味の言葉がありますが、
これも舞台の「奈落」が語源という説があります。
江戸時代、この「奈落」で働いていた人達は
前科者など顔を表に出したくないような人達が多く、
仕事内容は力が必要で大変なのですが、
一日に数回頑張ればいい仕事なので、もらえる給料も安いものだったそうです。
その「安く・汚く・きつい・・」といった仕事内容と、
床下の奈落がとてもじめじめとして薄暗く汚い場所だったことから、
「奈落に落ちる」という言葉が生まれたのです。
これでは、舞台の裏方は最低の仕事という印象になってしまいそうですが、
一方で彼らは「縁の下の力持ち」という言葉を生んだとも言われています。
安く・汚く・きつい仕事であっても、彼らが支えてくれるからこそ舞台が成り立っていたわけですね。
また、これらとは別に「奈落の底」という言葉もありますが、
この「奈落」と「底」は共に同じようなことを意味する言葉のため、
単に言葉を重ねて強調している表現ということになります。