「南京玉簾」(なんきんたますだれ)
「あ、さて、あ、さて、さては南京玉簾♪」
という有名な旋律の口上で囃し立てながら、
竹でできた簾(すだれ)を様々な形に変えてみせるという
ジャグリングのような芸である「南京玉すだれ」。
「南京」という名前がついていますが、
中国とはまったく関係がなく、日本で生まれた大道芸です。
発生したのは鎌倉時代とも戦国時代とも言われ、定かではありませんが、
少なくとも江戸時代には、旅芸人の演目や商売人の客寄せとして演じられていたそうです。
当時は、口上も「唐人 阿蘭陀 南京 無双 玉簾」と長いものでした。
ハイカラな諸外国を表す「唐人 阿蘭陀 南京」の後に、
比類する物がないほど優れている「無双」な「玉簾」というわけです。
そしてこれが短くなり「南京 玉簾」だけが今も残っているのですね。
「玉簾」のルーツは、富山県五箇山に伝わる民謡「こきりこ節」で使われる
「こきりこささら」という楽器と言われています。
国の重要文化財にも指定されている上梨の白山宮は
「南京玉すだれ発祥の地」として日本南京玉すだれ協会にも認定されています。
明治の頃には寄席などでも演じられていた南京玉すだれですが、
今では舞台で見かけることが少なくなった上、
演じている大道芸人までもが少なくなってしまった感があります。
しかし、南京玉すだれはやってみると難しい芸ですし、
いつの時代にもお客様を楽しませることのできる、面白い芸の一つではないかと思います。
というわけで芸人さん、現代版の面白い玉すだれを考案してみてはいかがでしょう?
「あ、さて、あ、さて」!!