「難波」(なんば)
右手と右足、左手と左足が同時に前へ出る歩き方を「難波」(なんば)と言います。
『あがって、ついつい「なんば歩き」になってしまった・・・』などと、
舞台でも緊張している様子を表す言葉として使われます。
この「なんば歩き」は、舞踊や立ち振る舞い、歩き方の練習など、
現在でも芸能の世界を中心に、様々なところで伝播されています。
有名なところでは、阿波踊りが難波の歩みです。
「えらいやっちゃ♪えらいやっちゃ♪」と、
同じ側の手足を同時に前へ出していますよね。
この「なんば歩き」、実は和服を着ていた時代の一般的な歩き方だったという説があります。
歩くときに腰を捻らないので負担がかからず、和服が乱れず、
手荷物や腰に差した刀もブラブラしないで安定するなど、たくさんの利点があったとのこと。
思えば、飛脚の精神をモチーフにした佐川急便の
2007年までのロゴマークも、難波走りの姿が描かれていました。
歌舞伎や狂言などでは、両手を膝において歩く姿を見ることができます。
おそらくこれが武士の正しい歩き方で、目上の人と接見するときの様子から、
「緊張している」という意味になっていったのではないでしょうか。