上演開始時間を早めることを「盗む」、
逆に開始時間よりも遅く始めることを「押す」と言います。
どちらも、お客様などの諸々事情によりコントロールするわけですが、
上演時間そのものを短くすることもあります!
それが「巻く」です。
普段の芝居より気持ちスピーディーに進める。
これは簡単ではありません。
経験の浅い俳優には、かなり難しいと思います。
しかし・・・
観劇者であるお客様がこの話を聞くと、
「早くやるなんていい加減で適当だ」と思われるかもしれませんね。
でも、面白いことに、
この「巻く」という行為は、芝居そのものを引き立たせ、
緊張感のある素晴らしい舞台にさせることが多いのです。
ある日、「○○の事情で、今日の公演は5分巻きで」
と言われるとします。
間や、台詞回しを速めることに意識した俳優は、
無意識のうちに自己顕示欲や無駄な癖が取り除かれるのです。
自分では物足りないと思ったその日の公演ですが、
お客様からは大好評!!
そして次の日から、
ロビーに貼られる上演時間の表記が5分短くなっている・・・
なんてことも珍しくありません(笑)
同じ作品の上演でも、企画団体によって上演時間は様々です。
作品の解釈が演出家によって違うので、
上演時間の「短い・長い」が良い作品になるかどうかとは
もちろん関係ないのですものね。
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