「独楽回」(こままわし)
「曲独楽」(きょくごま)
手や糸でくるっと回す独楽(こま)。
男の子なら一度は遊んだことがあるのではないでしょうか。
この独楽回し(こままわし)も、立派な曲芸・大道芸です。
刀や扇子、糸などの上で独楽を回したり移動させたりするこの曲芸。
芸の名前を「曲独楽(きょくごま)」と言い、
儀式としては平安朝時代から用いられていましたが、
曲芸としては江戸時代の元録頃始まった、博多曲独楽が元と言われています。
平安朝の頃は、祭礼や儀式に限られて行われていたものだったので
知るのは貴族階級に限られ、世間に広まっているものではありませんでした。
これを広めたのが、元々越中で薬売りが家業の松井源水と言われ、
江戸に出てきた四世源水は、
浅草を拠点に曲独楽などの大道芸を行いながら薬を販売し、
これによって江戸でも独楽が庶民の遊びとして広まったと言われています。
また1702年には、博多曲独楽を演じる初太郎という少年が
京都・四条河原で興行し、大人気となった記録があるようです。
最近では遊びや芸としての独楽は廃れてきた感じで、
むしろ江戸独楽などが民芸品として飾られることが多いですね。
戦隊物の武器としての電子的独楽商品は断続的に売られていますが、
昭和初期の東京下町を中心に大流行した
ベーゴマほどの隆盛は見ることが出来ません。
修得が難しくとも、ビジュアル的に地味な芸というものは、
見る人の「あぁ、凄い。絶対に自分ではできない」という感想が重要ですが、
一般社会の中(幼少の経験)で少なくなってしまった「独楽」というものは、
芸の対象になりづらくなってしまったのかもしれません。
そう考えると、再び社会で独楽遊びが流行したとき、
芸としての独楽回しも流行するのかもしれませんね。