「脚色」(きゃくしょく)
話をおもしろおかしくするため、事実に粉飾を加えることを「脚色する」と言いますよね。
舞台や映画の脚本に関しては、
小説のように元々存在する物語などを、上演・上映するために脚本にすること、
または元々ある戯曲や脚本に色を加えて味付けすることを「脚色」と言います。
この「脚色」という言葉は、中国に古くからある「雑劇」において、
俳優の役柄や劇の筋書きを表す意味で用いられ、
日本でも江戸時代後期から使われるようになったと言われています。
思えば日本の歌舞伎も、それ以前の古典芸能を脚色した物語が多いですね。
ところで、「脚本」と「脚色」の違いは何かと言うと、
原作のないオリジナルの作品が「脚本」で、
何かしら元になる作品を脚本化した作品が「脚色」というのが基本になります。
例えば、アカデミー賞には脚本賞と脚色賞が設けられており、
オリジナルの脚本にアカデミー脚本賞(Original Screenplay)、
原作のあるものにはアカデミー脚色賞(Adapted Screenplay)が贈られます。
近年は、舞台の映画化、映画の舞台化、過去の作品のリメイクなどが盛んですから、
それぞれの環境に合わせ、既に存在する脚本を脚色するケースも多くなっています。
ですから、1つの作品に脚本と脚色の担当者がそれぞれ存在する場合もあるわけです。
しかし、原作があるものを脚本化した場合でも、
担当した方が「脚色」としてスタッフ欄に載っているとは限らず、
「脚本」とクレジットされている作品も多く見かけます。
むしろ最近は、既にある脚本をアレンジした場合にのみ、
「脚色」と用いられることの方が多いのではないでしょうか。