「黒幕」(くろまく)
舞台演劇では、場面転換などで大道具として使う、
文字通り黒い色の幕を指して使われますが、
一般には「陰で糸を引く人」「表には出ずに裏から操る人」
といった意味で使われるこの言葉。
こちらの意味の「黒幕」も、舞台から生まれたと言われています。
舞台演劇で頻繁に使われる黒い大きな幕。
お客様からは、その裏側は見えないですよね。
実際は、ただの背景だったり、次のシーンの用意をしていたりと、
演出上の理由で使われているのですが、
お客様には、裏からセリフを教えるためにあるのではないか、と思われていたようです。
そして、その噂が広まり、
裏にいる人を黒幕と呼ぶようになりました。
(プロンプといって、もしもの時に陰でセリフを教えるための人がいることも確かにあります。)
ちなみに英語では、単に黒い幕のことは「black curtain」と言いますが、
「陰で糸を引く人」という意味の場合は、
文字通り「ワイヤーを引く人」=「人形遣い」という意味の「wirepuller」と言います。
主にアメリカで使われる俗語ですが、
日本と似たような比喩によって一般的な言葉になっているのがおもしろいですね。
また日本でも、「差しがね」という言葉もそうですが、
裏で操るという意味の言葉に、
舞台から生まれた言葉が多いのは、とても興味深い感じがします。