「殺す」(ころす)/「ばらす」
演劇界で「殺す」は、「物を固定すること」や「生かさないこと」を表します。
最も頻繁に使われるのは、
物が動かないように「動きを殺す」という場合ではないでしょうか。
釘やロープなどを使い、舞台セットや道具、照明などを固定することです。
照明やセットが、落ちたり倒れたりしたら舞台は台無しですし、
危険な事故にも繋がりますので、
現場では「そこ殺しとけ」「ちゃんと殺せよ」などと、物騒な言葉が飛び交います。
また、演技上において勝手な動きや変な芝居をすると
「殺している」と言われます。
他の役者を殺している、芝居を殺している、といった意味合いですね。
他にも「マイクを殺す」「照明を殺す」など、
「殺す」は様々な場面で使われる多義語です。
どれもなんとなく意味がわかるものの、物騒な言葉ですが、
舞台は皆の力が集まってできる総合芸術なので、
1人、1つのミスがすべてを壊してしまう、
そういった厳しさの中から生まれた言葉かもしれませんね。
ちなみに、公演終了後の舞台セットの片付けのことは「ばらす」「ばらし」と言います。
こちらも物騒な表現ですが、
演劇界ではよく使われますので覚えておいてくださいね。