「切り出し」(きりだし)
厚紙・板などを切り抜いた上で彩色して作り、
背景として利用する、物の形をした大道具を呼ぶ言葉です。
材料を切って作るため平面的な背景となり、
「平物(ひらもの)」とも呼ばれます。
反対に、立体的に作られた背景は「丸物(まるもの)」と呼びます。
「切り出し」は、昔から歌舞伎で使われていた大道具で、
山や木など自然のものから、建物や灯籠などの造られたものまで、
主に床に立てて使われていました。
しかし最近では、バトンで吊る雲や、その他抽象的な物まで、
材料を切り出して作った物であれば、こう呼ぶこともあるようです。
現在は様々な技術が向上したため、照明や映像を使ったり、
ドロップという立体的な絵を描いた幕を利用したりと、
明らかに作り物という道具は少なくなってきた感もありますが、
部分部分ではまだまだ多く見られる大道具です。
ちなみに「平物・丸物」は、演劇界ではこのように使われますが、
様々な業界で、いろいろな使われ方をしている言葉のようです。
他の業界の人に使うと、話が食い違ってしまうことも考えられますので注意してくださいね。