「喜劇」(きげき)
喜劇とは、簡単に言えば笑いを呼ぶ作品のジャンルのことですが、
では具体的に喜劇とは何か、演劇のジャンルとしての喜劇とはどういうものを指すのかというと、
定義するのはなかなか難しいところです。
「喜劇」を広辞苑を引いてみると、
「劇の二大部門の一。滑稽または風刺を目的都市、観客の笑いを誘う。
円満な解決をもつ劇。時には深刻な内容をもつものも指す。」とあります。
対義語であり、二大部門のもう一つに該当するのは「悲劇」ですね。
喜劇を英語で言うと「コメディ(comedy)」で、日本語としても普及していますが、
「喜劇」と「コメディ」は、微妙に違うニュアンスで使い分けられている印象もあります。
「喜劇役者」は英語で「コミック・アクター(comic actor)」または「コメディアン(comedian)」となりますが、
「喜劇役者」と「コメディアン」も、完全に同意では使われていませんね。
世界の三大喜劇王と呼ばれるチャールズ・チャップリン(Charles Chaplin)、
バスター・キートン(Buster Keaton)、ハロルド・ロイド(Harold Clayton Lloyd)も、
コメディアンではありますが、映画や舞台で演じる俳優ですが、
日本ではコントや漫才など、劇や芝居とは違う形態に分類することの多い、
いわゆるお笑い芸人が数多く存在することに由来するのかもしれません。
しかしコントや漫才、落語なども、台本を演じる劇である、という意味では通じますので、
これらも喜劇の1つだと言って良いかもしれません。
また「バーレスク」「コミック・オペラ(喜歌劇)」なども喜劇の範疇ですし、
日本においては「狂言」が最古の喜劇で、
最近では吉本や松竹の新喜劇も、喜劇の一種だと言えそうです。
このように、喜劇は幅広く作品の趣を表す言葉なので、
演劇や映画の作品ジャンル分けにおいては、
恋愛もののコメディを「ロマンティック・コメディ」、
状況や場面、登場人物などが固定され、たいした帰着点のないものを「シチュエーション・コメディ」というように、
もう少し細分化された表現も多く用いられています。