「稽古」(けいこ)
「リハーサル」(rehearsal)
芸術だけではなく、スポーツ・学問・武道など様々な分野で、
練習のことを「稽古」と言いますよね。
「稽古」とは、古(いにしえ)を稽(考える)という意味で、
「古きを学ぶことにより、新しきを考えられる」と、学問の基本を現した言葉です。
それが芸事・武道の世界で使われるようになり、やがて一般的になっていったそうです。
芸能、特に古典芸能の世界においては、
先人の残した型を学ぶことによって芸を身につけ、
そこから自分のオリジナリティを加えたりしながら磨いていくわけで、
正に「稽古」という言葉がぴったり当てはまるのがわかりますね。
また、「稽古」と同じような意味で使われる「リハーサル」(rehearsal)という言葉も、
語源を辿ると「馬鍬」を意味するラテン語で、
物事を創るには畑を耕すことが大切である、という意味を持っており、
日本語の「稽古」と同じような発想で生まれた言葉のようです。
つまり、世界各国どこであろうと、またいつの時代であっても、
稽古の積み重ねこそが芸を磨く唯一の道だということですね。
ところで、「稽古」と「リハーサル」の言葉の使い分けですが、
舞台演劇界で一般的な「練習」といった意味合いを表す時は
「稽古」という言葉を使うことがほとんどで、
稽古の段階によって「読み合わせ」「立ち稽古」「舞台稽古」などと
それぞれの稽古に名前がつけられています。
一方「リハーサル」と言うと、「ゲネプロ」や「通し稽古」、
英語で言うところの「ドレス・リハーサル (dress rehearsal)」と同じように、
「本番さながらの稽古」といった意味合いで用いられる場合が多いようです。