「軽演劇」(けいえんげき)
軽演劇とは、一般の演劇作品のようにテーマや物語に重きが置かれず、
時事風刺などを取り入れた娯楽性の高い作品のことです。
辞書を引くと「ライト・コメディ(light comedy)」と英訳するとありますし、
大雑把には大衆演劇のうち喜劇を指すと考えれば良いかもしれません。
軽演劇が誕生したのは昭和初期、1930年頃の東京・浅草。
アメリカの喜劇映画やレビュー、ボードビルなどを取り入れたもので、
特に滑稽なドタバタ喜劇のことは「アチャラカ」と呼ばれました。
この「アチャラカ」という言葉は、「欧米もの」という意味の「あちら」が転じて生まれたとも言われています。
浅草オペラから生まれた劇団カジノ・フオーリー、その団員だった榎本健一(エノケン)、
後にエノケンが引き抜かれて出演した浅草松竹座などが有名ですね。
一世を風靡した軽演劇ですが、戦争が近づくにつれ、その喜劇性故に衰退していってしまいます。
現在では、もはや死語となってしまった感さえある「軽演劇」ですが、
萩本欽一は欽ちゃん劇団や自らの舞台を軽演劇と称していますし、
西の吉本新喜劇を軽演劇と捉えることもあります。
また、本場・東京でも「東京喜劇、軽演劇の復活」を目指して伊東四朗や三宅裕司が一座を旗揚げています。