「傀儡」(かいらい・くぐつ)
自分の意志を持たず、
あやつり人形のように他人に左右される人を指すこの言葉。
「傀儡政権」(かいらいせいけん)のように
一般の社会でも使われていますよね。
難しい漢字のこの言葉、語源は人形回しの芸人からきています。
はるか昔、平安時代の頃から、
人形回しの操り人形(あやつり人形)のことを「傀儡」(かいらい・くぐつ)と言い、
人形回しの芸人のことを「傀儡師」(かいらいし・くぐつし)と呼んでいました。
首から掛けた箱の上で人形を見せる大道芸人を
見たことがある方も多いのではないでしょうか?
これは江戸時代に盛んだった大道芸で、
時代劇でよく見かけますし、今日でも時折街角で演じていますよね。
傀儡師は、人形浄瑠璃の「人形遣い」の祖となり、
やがて三味線などと結びつき、
現在「文楽」と呼ばれているものへとつながります。
傀儡師が人形を、さも意志のあるように動かしている様から、
他人に影響されて自分の意志を持たない人を
「傀儡」と言うようになっていったのでしょうね。
ちなみに、同じ意味の「でくの坊」という言葉の「でく」というのも
同じくこの人形「傀儡」を指す言葉で、漢字で書くと「木偶」となります。
木で作られた偶像、つまり操り人形というわけですね。