「飼い殺し」(かいごろし)
役に立たなくなった家畜などを、死ぬまで飼い続けておくことから転じ、
役不足の仕事や役職しか与えずに雇用しておくことを意味する「飼い殺し」。
演劇の世界では、ちょっと違ったニュアンスで使われます。
舞台セットの裏、お客様から見えないところには、
転換や衣裳替えのために、多くの場合スタッフが隠れています。
たいていは舞台や衣裳が変わるたびに忙しく動いていますが、
舞台装置の作りによっては逃げ場がなく、
開演前から舞台装置の裏に張り付いているスタッフも出てきます。
隠れているスタッフはお客様には見えませんが、
舞台上にいるので咳ひとつ出来ず、
ただただ静かに転換などのためだけに待っています。
この動きたくても動けない様子を「飼い殺し」と呼びます。
また、こうした予定していた待機でなく、
突発的に舞台上に残されてしまう場合も「飼い殺し」と言います。
例えば、本来なら舞台袖にはけているはずのスタッフや出演者が、
何らかのアクシデントで舞台装置に残ってしまい、
その装置の構造上、戻ってこられなくなってしまう・・・というようなケースですね。
そんな場合、隠れ続けて事なきを得ることがほとんどですが、
時には進行上どうしても姿が見えてしまうことも(怖)
こんなとき役者でしたら、機転の利いたアドリブが重要になりますね。