「かぶりつき」
舞台に一番近い客席、舞台際の席を「かぶりつき」と呼びますよね。
舞台にかぶりつくようにして(誰にも邪魔されずに集中して)
見ることができることから生まれた言葉なのですが、
歌舞伎の世界から生まれた、という面白い説もあります。
歌舞伎には、舞台で水を使う演目がいくつかあります。
現在のように舞台設備が整っていない頃、
その水が客席にかかってしまうこともあったそうです。
水道の無い時代、水は雨水か井戸水。
公演の度に水を交換することはできず、
決して綺麗ではない水がお客様にかかってしまうのです。
しかし、演出を変えると芝居の質が落ちてしまいますから、
水がかかってしまう前列のお客様に、
雨除けの被り物(かぶりもの)を配ったそうです。
ここから、「被り物(かぶりもの)」が「付いた」席、
すなわち「かぶりつき」と呼ぶようになった、という説なのです。