「歌舞伎」(かぶき)
古典演劇である歌舞伎の語源は、
新奇なことを意味する「傾(かぶ)く」という言葉です。
江戸時代のはじめ、
派手な衣装を付け、派手なメイクをした人々が街を闊歩していました。
今で言う、ストリートパフォーマンスのようなものですね。
その人達を「奇抜な人たち」というような意味合いで、
「傾き者(かぶきもの)」と呼んでいました。
その「かぶき」が
『「歌」(音楽)「舞」(踊り)「伎」(演技)』と
歌舞伎の三大要素を取り入れた言葉に変わっていくのです。
現在では「KABUKI」と、世界でも有名な日本の伝統芸能のネーミングは
実は当て字から生まれたのですね。
歌舞伎の発祥は、戦国時代の頃と言われています。
記録として残っているものでは、慶長年間(1600年頃)、
出雲(現在の島根県辺り)の阿国という女性芸人が始めた「ややこ踊り」が、
やはり奇抜なことから「かぶき踊り」と言われたのが起源というのが通説です。
1603年、出雲阿国が京都・四条河原に小屋をかけて行った公演は特に有名で、
このときを歌舞伎の起源としていることも多いようですし、
これを題材にしたミュージカル「阿国」も創られています。
このように当初は女性が演じていた歌舞伎ですが、
時代の流れで禁止されたり認められたりと、様々な困難を通して今に至っているのです。
なお出雲阿国は、1607年に江戸城で家康の前で踊りを披露した記録を最後に、
その後の消息は不明とされています。
このように、歌舞伎はまだ400年程の歴史で、
古典芸能というには、やや歴史の浅い芸能です。
そのため、他のジャンルの演目を歌舞伎化した作品が多く、
浄瑠璃を歌舞伎化したものを「義太夫物」、
能・狂言を歌舞伎化したものを「松羽目物」「能取り物」と言います。
やがて元禄年間(1690年頃)になると
ようやくオリジナルの歌舞伎も創られるようになり、
これを「純歌舞伎」と言います。