「蛇の目」(じゃのめ)
「蛇の目回し」(じゃのめまわし)
「ヘビの目」と書いて「蛇の目」(じゃのめ)。
文字通り「ヘビの目」のことも意味しますが、
その見た目の例えから、幾重かにかさなった輪の形のことを言いますよね。
パソコンなどでは「◉」と表記することもあるようです。
一般に「蛇の目」と言えば「蛇の目傘」を意味することが多いでしょうか。
しかし、舞台の世界で「蛇の目」という場合は、「二重盆」を指す言葉です。
盆とは、舞台上が回る装置のことです。
「回り舞台」といった方が伝わりやすいでしょうか。
その盆が同心円で二重になっていて、それぞれ別方向に回ることが出来る装置を
「二重盆」と言い、別名「蛇の目回し」、略して「蛇の目」と呼ばれているのです。
また、二重盆の外側の円のみを廻すことを「蛇の目回し」と言うこともあります。
ちなみに、新宿のコマ劇場は盆が三重になっています。
三重盆が中心に向かって迫り上がっている様が、
独楽(コマ)を逆さにした形に似ていたので、「コマ劇場」と名前が付いたそうです。
もちろん、コマ劇場のように三重盆であっても「蛇の目」と呼ぶこともあります。
さらに余談ですが、「蛇の目」と言えば「蛇の目ミシン」を思い出す方も多いかと思います。
この「蛇の目ミシン」も、ミシンのボビン(bobbin=糸巻き)が蛇の目に似ていることから、
ボビンの形が蛇の目のようなミシンを「蛇の目式」と呼ぶようになり、
やがて蛇の目ミシン工業株式会社という社名にまでなったそうです。