「箱馬」(はこうま)
舞台を二重にするとき、つまり通常の平舞台よりも舞台を高くして使うとき、
平台という平らな台を使うのですが、
この平台の足になる、高さを合わせる台を「箱馬」または「箱足」(箱脚)と言います。
「箱馬」を大雑把に言うと、一般的な段ボールのような形をした木製の箱といった感じです。
つまり、見た目が「箱」で、「脚」や「馬」のように支えてるものというわけですね。
また省略して単に「馬」「足」などとも呼ばれます。
箱馬は、土台として使われる物なので非常に丈夫であり、
また釘で固定もできる木材で作られていることがほとんどで、
サイズ(寸法)は「6寸×1尺×1尺7寸」と、「6寸×1尺×1尺」が中心。
この大きさは、舞台セットを組むための大道具の知恵から生まれたものです。
日本では、歌舞伎の舞台以来、二重舞台の高さには何種類かの定型があります。
また、平台の高さ(厚み)の基本は4寸と決まっており、
これら決まった大きさの箱馬と平台を組み合わせて使用することにより、
簡単に二重舞台を造る事ができるようになっているのです。
例えば、「常足」は1尺4寸の高さですので、高さ1尺の箱馬に4寸の平台でピッタリ。
2尺1寸の「中足」なら、1尺7寸の箱馬と4寸の平台、といった具合です。
しかし、これは日本古来の様式ですので、
作品や舞台によっては、その他にも様々な大きさの箱馬が用いられます。
例えば、雛壇のように高さの違う壇も高さの違う箱馬を使って作りますし、
舞台以外のジャンルでも、様々な箱馬が使われていることと思います。
足元を支える舞台の下にある箱馬は、通常なかなか見る機会がないと思われるかもしれませんが、
1尺程度(約30cm)の高さのためスタッフが腰掛ける椅子として使ったり、
たいてい穴があいているので小物入れとして使ったり、意外なところで活躍していることもあります。
劇団のアトリエ公演などでも頻繁に観劇する方は、
きっとどこかで視界に捉えたことがあると思いますよ。