「俳優」(はいゆう)
日本語では、男女関係なく「役者」のことを「俳優」と言いますよね。
辞書を引いてみても、「役者」の解説に「俳優」とあり、「俳優」の解説には「役者」とありますので、
2つの言葉は、ほぼ同意語と捉えても良さそうです。
さて、この「俳優」という言葉。
あまり知られていませんが、実は「俳」(はい)という漢字一文字で、役者や芸人のことを意味します。
「俳」は、太古の頃は神事や祭事で仮面を付けて踊る人のことを指したと言われており、
これらはまた、演劇の起源とも考えられています。
日本における俳優の起源は、古事記や日本書紀に登場する芸能の女神
アメノウズメ(天鈿女命/天宇受賣命)の所作と言われています。
これを「わざをき」もしくは「わざおぎ」と言い、後に「俳優」という漢字をあてたため、
「俳優」という表記は「はいゆう」以外に「わざをき」「わざおぎ」とも読み、
滑稽な動きや歌で神々や人々を楽しませる人のことをも意味します。
ちなみに英語では、俳優が「actor(アクター)」で、女優は「actress(アクトレス)」。
「act(アクト)」で「行動」を意味しますから(演劇では一幕をも表します)、
actorやactressは「行動する人」という意味あいになります。
日本語と比べると、ずいぶんシンプルに感じられますね。
難しい語源や漢字はともかく、「人に非(あら)ず」と書いて「俳」、
それに「優」がついたのが俳優ですから、
「人に非ず」ことに「優れている」のが「俳優」である、
というような解釈を、当の俳優本人たちはするものです。
つまり、人は誰しも様々な仮面を付けて生活していますよね。
例えば、「学校では生徒の仮面、家に帰ると子供の仮面」、
「家では母の仮面と妻の仮面、勤め先では社会人の仮面」。
そう考えると人は皆「俳」であり、
その中でもそれの優れた人が「俳優」ということではないのかと・・・