宝塚歌劇団の「フィナーレ」「パレード」
「フィナーレ」とは、元々イタリア語の「finale」で、
音楽においては最終楽章や終曲を、舞台では各幕、あるいは作品全体の最後の部分や場面を意味します。
「finale」というスペルのまま、英語やフランス語にもなっていますので、
ほぼ世界共通で用いられている舞台・音楽用語と言えそうです。
演劇やミュージカルの公演においては、
作品の上演が終わると、観客に挨拶をする「カーテンコール」があることがほとんどですが、
宝塚歌劇の公演の場合、代わりに「フィナーレ」が行われます。
宝塚における「フィナーレ」は、まずラインダンス(ロケット)から始まります。
緞前でのラインダンスが終わると、幕が上がって大階段が登場。
そして大階段を使い、トップスターや2番手などのショーが行われ、
エトワールが公演の主題歌を歌って「パレード」が始まります。
コスチュームプレイでないパレードの時、
タカラジェンヌたちは羽を背負い、手には「シャンシャン」と呼ばれる小道具を持っています。
「パレード」では、主題歌を歌いながら全出演者が大階段を降りるのですが、
このとき、若手は両端を、主要キャストは中央を降りてきます。
ソロのパートがあるのも、多くとも主要キャストの3番手ぐらいからで、
これを見るだけでも厳しい序列があることが窺い知れますね。
そして、娘役トップスターが大階段を降りると一度暗転し、
最後にトップスターの登場となります。
トップスターは大階段の中央で主題歌を歌い、
階段を降りて銀橋へと進み、主要キャストが並んで挨拶をします。
挨拶が終わると、それぞれが元来た方向に引き返すのですが、
唯一トップスターだけは前へと進んで行きます。
つまり、トップスターだけが銀橋を渡ることができるのです。
そして最後に舞台へと戻り、幕が下りて「フィナーレ」が終了。
一般のミュージカルであるようなカーテンコールはほぼありませんので、
観客はフィナーレの余韻に浸りながら帰路につくことになります。
なお、宝塚における「パレード」には、この他に「さよならパレード」というものもあります。
これは、舞台上で演じられる公演の一部ではなく、
トップスターの退団公演の千穐楽に、楽屋を出てから車に乗るまでファンが並んで作る道を歩くことを指します。