「出る幕がない」(でるまくがない)
「せっかく会議に出席したのに出る幕がなかった」などと、
一般的にも使われている「出る幕がない」という言葉、
「幕」という文字からもわかるように、演劇の世界から生まれた言葉です。
「出る幕がない」の幕は、緞帳や袖幕などの実際に吊られている幕のことではなく、
一幕・二幕など、芝居の場面という意味の幕で、
つまり、「出る幕がない」は「役者なのに出る場面がない」といった意味になります。
冒頭の例ならば「せっかく会議に出席したのに出番がなかった」と
言い換えることができるわけです。
他人に対して「出る幕ではない」という使い方もされますが、
この場合は「君の出るシーンではない」という感じの意味合いになり、
要するに「引っ込んでいろ」ということを婉曲な表現で言っているわけですね。
ちなみに、役者が舞台に出る場面のことを「出番」、
一つの演目の最初から終わりまで、ずっと舞台に出演していることを「出突っ張り」と言うなど、
役者が舞台に「出る」というところから、多くの言葉が生まれています。
やはり、役者は舞台に立ち、お客様に観てもらってこそということなのでしょうね。