「出臍」(でべそ)
客席に突きだして、お客様に囲まれる形になった舞台のことを、
「出臍」(でべそ)と言います。
意味は、そのまま文字通りなのですが、いわゆる張り出し舞台のことで、
ファッションショーでお馴染みのキャットウォークや、
ストリップ劇場の舞台などを想像していただくとわかりやすいかと思います。
この「出臍」は、舞台上に飾られた屋体(家屋)の、
ある特殊な作り方から生まれた言葉です。
通常、家は四隅に柱がありますよね。
しかし、舞台前方に屋体がある場合、その柱のせいで死角が出来てしまい、
上下(かみしも)の前の方で観劇しているお客様から、芝居(舞台上)が見づらくなってしまいます。
そこで、お客様から見やすいようにと、その柱を舞台奥へずらす形が考えられたのです。
同様に、歌舞伎などでは二重舞台を欄間より客席側に出っ張らせて造られています。
劇場は、舞台の横幅よりも客席の方が広いことが多いため、
なんとかお客様に見やすいようにと、工夫が凝らされているのです。