「だんまり」
台詞を使わず、身振り手振りや表情だけで表現する芸や劇のことを
「パントマイム」 (無言劇)と言いますが、
日本の古典芸能「歌舞伎」にも、
パントマイムによく似た「だんまり」というものがあります。
「だんまり」とは歌舞伎の演出の一つで、
暗闇の中で動きだけで表現する手法のことです。
その芝居は互いに探り合う様を表したもので、
基本的には所作や舞台の美しさを魅せるための演出です。
動きもスローモーションが多く、当然無言。
言葉の語源も「黙(だまり)」が撥音化したものという説が有力です。
もちろん、暗闇と言っても本当に真っ暗にしてしまうと
客席からも何も見えなくなってしまいますから、
背景を暗幕にしたりして暗闇を表現します。
また、この「だんまり」は、
俳優がゆっくりと動く、したがって好きな俳優をゆっくりと観られるということから
「顔見世興行」でもよく使われます。
ただし、現代劇のように、薄暗い明かりになったり、スクリーンに文字が出るなど、
わかりやすい演出上の説明はありませんので、
予備知識なく観劇した場合は、少し不思議な感じがするかもしれません。