「文士劇」(ぶんしげき)
文士劇とは、劇作家や演劇評論家、記者など、
普段はあまり表に出ることのない俳優以外の人々が出演して芝居をするアマチュア演劇のうちのひとつです。
日本初の文士劇は、1890年に尾崎紅葉・江見水蔭などが
「増補太平記」を演じた硯友社劇(けんゆうしゃ)だと言われています。
1905年、東京の新聞記者などによる「若葉会」 が歌舞伎座で公演。
岡本綺堂「天目山」などを、綺堂自身も参加して上演しました。
1906年には、東京毎日新聞社が事業として展開しようと「毎日新聞演劇会」を組織し、明治座で初公演を行うなど、
20世紀初頭には文士劇が流行したと言われています。
その後、1934年に文芸春秋社の愛読者大会で菊池寛の「父帰る」を上演。
この文藝春秋の文士劇は、戦時中を除き1977年まで続けられました。
1949年、岩手では作家の鈴木彦次郎を中心に「盛岡文士劇」が立ち上げられ、岩手県公会堂で初公演。
この盛岡文士劇は1962年で一度途切れましたが、1995年に高橋克彦が発起人となって復活。
盛岡劇場を会場に、現在も年に一度、12月頃に公演が行われています。
なお、2010年公開の映画「日本のいちばん長い夏」も、
映画ではありますが、いわゆる文士劇のひとつと言える作品です。