「揚幕」(あげまく)
歌舞伎舞台などで、花道の奥にある部屋を鳥屋(とや)といいますが、
主にこの鳥屋を隠す格好で取り付けてある幕を「揚幕」と言います。
揚幕は、花道や上手・下手(かみて・しもて)に掛けることもある他、
能舞台の橋掛かりにも掛けられます。
要は、出入り口や部屋など、舞台と隣接しているところを隠す幕
と考えていただければ、わかりやすいのではないでしょうか。
歌舞伎の揚幕は紺色で、白抜きで劇場の紋が彩られているものが一般的です。
劇場では金輪(かなわ)を使って吊られている場合が多く、
芝居の中で勢いよく揚げ幕を開けると、
「チャリン」と音をたてるのが大きな特徴です。
これは演出としても様々な用途に用いられており、
歌舞伎座などの大きな劇場には、幕の開け閉めを担当する
「揚幕番」と呼ばれる専属のスタッフがいるほどです。