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街角占い師
作 橋本知佳
 


出演

占い師 以下→占

女性 以下→女

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街角占い師が座っている
目の前に寒そうな女性が登場する


「バスはっと…あーさすがにもう無いか。
  あの野郎!タクシー代くらい出せよなー!
  大体さ、ハンバーグがおいしいお店があるって誘われたのに、
  ハンバーグが割り勘ってどゆこと!?」

女タクシーを止めようとするが止まらない

「にしても寒いなぁ!明日雪でも降るのかなぁ?」

「パラリン♪猫が顔を洗ったから明日は雨」

女占い師に気付く くしゃみをする

「パラリン♪風邪は人にうつすと早く治る」

「あのー、あなたさっきから何やってるんですか?」

女席に座る

「占いじゃよ」

「…それって占いかなぁ?まぁいいや。占い師さん。せっかくだからちょっと占って。
  今日食事をした男性とは付き合いますか?」

(花を取り出す)「付き合う、付き合わない、付き合う、付き合わない、付き合わない、付き合わない、付き合わない!」

「ええ~??それじゃ、私、いつ結婚できますか?」

「いつ結婚できるか?じゃな。むむむむむ(占い師怪しい動きをする)…パラリーーーン♪」

「あっ…これは…なんていうか。出来るといえば出来るというか…」

「え?いつなの?はっきり言ってよ!」

「10年後じゃな」

「じゅ、10年後?」

「そうじゃ。おぬしは毎週婚活パーティに必死に参加するも全く相手にされず、
  ジャニーズにはまりグッズを買いだし、
  寂しさのあまり犬を飼いだし、大家さんにアパートを追い出され、
  途方にくれて海に身投げをしようとしたところを
  たまたま通りがかった漁船のおじさんがプロポーズしてくれるのじゃ。」

「漁船のおじさん!?」

「お情けで」

「お情けで!?」

「『なーんでオメこんなとこで死のうとしてんだ?すかたね。オラの嫁さなったらいいばい』
  それがプロポーズの言葉じゃ」

「・・・」

「それが10年後」

「嘘でしょーーーー?」

「わしの占いは絶対じゃ!じゃが100%ではない」

「どっち!?」

「そもそも何故そんなに結婚がしたいのじゃ?」

「・・・だって。周りの友達はみーんな結婚しちゃってるのに、私は毎日仕事、仕事、仕事で」

「仕事が嫌いなのか?」

「ううん!仕事はむしろ好き!最近やっと認められてリーダーになったし、
  責任とか、部下の教育に悩みもあるけど、この仕事大好きだし、私の天職だと思う!」

「ならばいいじゃないか。」

「でも辞めなくちゃ」

「何故に」

「だってこんなにバリバリ仕事している女、可愛くないって。
  隙がないって友達に言われたんだ。
  だからもっと出会いが多くて、女子力がガツンと上がるような仕事にしようかなって。
  カフェ店員とか?」

「いいや。おぬしが好きだと思える仕事を一生懸命やれば
  おのずとそんなおぬしが好きだと言う者が現れる」

「え?でも10年後なんでしょ?」

「10年後になるのはおぬしが下心たっぷりで転職した場合の話しじゃ。
  今の大好きな仕事を続けておれば
  3ヶ月以内に社内の2歳年下イケメン独身男性に告白されるであろう」

「・・・よっしゃーーーーー!!!」

「がんばるのじゃぞ」

「はい!ありがとうございます!!」

「5万円です」

「高え!」

    
 
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