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2011年1月26日
時事通信の事件から考えるニュースの記事盗用
時事通信が、共同通信の記事を盗用したと謝罪するニュースがありました。
時事通信自身が報じているので引用します。
時事通信、記事盗用で謝罪
時事通信社は24日、記事を盗用したとして、共同通信社に謝罪した。同日未明に配信したスキー・ジャンプの「葛西、今季最高の5位」の記事について、共同通信の配信記事を写し、表現が酷似した部分があった。執筆者は認めている。時事通信は調査して厳正な処分を行う。
谷定文・取締役編集局長の話 今回の行為は、他社の記事を写すというメディアの倫理に反するものです。執筆者は国際スキー連盟の公式記録で事実関係を確認しましたが、言い訳はできません。今後は記者教育を徹底し、再発防止を図ります。
時事ドットコム:時事通信、記事盗用で謝罪
共同通信の報じたところに拠ると、記事の最後に配信元として(共同)の表記があり、表現も酷似していたことから盗用が発覚。
朝日新聞の報道に拠ると「内容については国際スキー連盟のホームページ上で公式記録から確認した」そうですが、
読売新聞の報道に拠ると「共同通信がインターネットに掲載した記事をコピーして使った」とのこと。
まず盗用のことは置いておいて・・・
共同通信と時事通信は日本を代表する通信社で、新聞社などにニュースを提供する立場だと思うのですが、
スキー・ジャンプに関しては、オフィシャルサイトで情報を確認して記事を作っていたということになりますね。
そんなニュースを高い金額で売れるなんて、割の良い商売だなぁというのが第一印象。
そして今回の事件は、ネット上の記事をコピペし、
文末の(共同)の表記を消し忘れたから表面化した話ですよね。
ということは、これが共同通信の記事を見た上で、自分で記事を書いたのであれば、このような問題にはなってなかったはず。
もちろん、共同通信とまるまる同じ文章だったらアウトでしょうが、
多少なりとも文章が違っていれば表だって問題になったとは考えにくく、
つまりこんなことは頻繁に起こっていることなんじゃないかな、という印象を抱きます。
競合他社の記事を見てニュースに取り上げるべき情報を知り、それをオフィシャルサイトで確認。
内容的にほぼ同じような記事を書けば、それでメディアとしてOKなのでしょうか?
私も演劇ニュースを書いていますので、関連しそうな様々なニュースに関してはかなり目を通していますが、
これは他のニュースを読んで書いただけのものだろうな、と思えるニュース記事を多々目にします。
もちろん、文章の前後が入れ替わっていたり、語尾が変わっていたりして、
著作権法的にアウトだと断言できるほど、はっきりとした盗用はなかなかありませんが、
これは時事通信が言うところのメディアの倫理に反することにはならないのでしょうか。
もちろん、ニュースというのはゼロから生み出す創作物などとは違い、既にある何かをまとめただけのものですから、
知ってしまえば単なる情報に過ぎず、記事を読んだ方がその情報を再発信したところで何の問題もないのかもしれません。
また、プレスリリースなどを元に記事を書けば、どこの記事も似通ってしまうというのも否めないと思います。
しかし、競合他社の記事によってそのニュースを知った場合、その情報を記すと完全に後追い記事になります。
競合他社にある記事が自分たちにないというのは問題なのかもしれませんが、
だからといって他社の記事を再構築して配信すればそれで良いのでしょうか。
競合他社の記事であっても、それを見て何かを知ったのであれば、自分もその読者の1人のはず。
そこに、情報を与えてくれた記事への感謝や、報道した他社へのリスペクト、
情報へのアンテナが低かった自分の反省などはないのでしょうか。
青臭いことを言っているのかもしれませんが、
メディアの倫理観とは、こうした人として当たり前のところから、生まれてくるのではないかと私は思います。
「時事通信の事件から考えるニュースの記事盗用」奥付
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