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2004年11月19日
ドッグヴィル
閉鎖的な環境に置かれた時の、集団の異常心理。
それを演劇的手法で映画化した傑作です。
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマン/ポール・ベタニー
あたしは何の予備知識もなくDVDで観たもので
普通の映画を観るつもりで見始めたところ、冒頭から驚いてしまいました。
音声はナレーションで始まり、映像には風景もセットもないのです。
あるのは、薄暗い空間と
床に書かれた家や敷地、道路などを示す白線と、家具などの僅かな小道具だけ。
なんと飼われている犬までが白線で書かれているのです。
そして3時間近いこの映画は、ほぼそれだけの映像で作られています。
しかも舞台は、1本の道によってのみ外とつながっている山奥の小さな村。
住民はわずか23人しかいません。
ミステリで、閉鎖された状況に場面設定された「そして誰もいなくなった」のような物語を
「吹雪の山荘もの」とカテゴライズしていますが、この映画は正にそんな感じ。
登場人物といい、舞台設定といい、完全に舞台演劇なのです。
そして内容は「人間心理」というただ一点。
過去の映画で言えば「es」と同じようなテーマですが
限られた舞台と、家の壁さえ床に白線で記すような演出で
「人間」だけを強烈に浮かび上がらせることに成功しており、
俳優達の名演も手伝って、
観ていて気分が悪くなる程、人間の醜悪な部分を突きつけられます。
主役のニコール・キッドマン目当てに見始めたあたしは
実は15分くらいで観るのを止めようかと思いました。
何せ、映像はそんな感じで変化に乏しいことこの上ないですし、
映画の最初はご丁寧に「プロローグ〜人物紹介〜」と言って始まるので、とっても退屈なのです。
しかし、そこさえ乗り切ってしまえば、あとは映画「DOGVILLE」の世界に入り込んでしまいました。
そして最悪の気分で鑑賞し、ラストで溜飲が下がる・・・という感じでしょうか。
そんな感じで「人間心理」を描いた映画の中では、最高傑作の一つと言ってもいいと思います。
R-15指定ですが、未見の方には是非観てほしい映画です。
●ドッグヴィル プレミアム・エディション
あたしの見終わった感想も書こうと思ったのですが
根本的なことは、上記amazonのレヴューでヘローさんがすごく上手く的確なことを書かれており
劣化して同じこを書くだけになりそうなので割愛・・・
ただ、ヘローさんのレヴューの最後の部分については同意しつつ個人的には反対の感慨を持ちました。
他人を許す心を持つだけでは、相手は少しずつ自分を正当化しながら理不尽なエゴを晒すようになる、
他人を許しすぎるのも傲慢なことだ、という事がこの映画の主題だと感じましたし
あたし個人にとっても何だかとても心に残りました。
もちろん、他人を理解し、すべてを許す心を持てることが一番素晴らしいことだとは思いますが・・・
まぁ、そんなことをいろいろ考えさせられる映画です。
ぜひご覧ください。
ちなみに書籍「ドッグヴィル」も発売されており、
オフィシャルサイトも顕在のようです。
「ドッグヴィル」奥付
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