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2004年2月21日
オープン・ユア・アイズ
監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:エドゥアルド・リノエガ、ペネロペ・クルス
98年度東京国際映画祭でグランプリを受賞したスペイン映画。
が、なぜか邦題に英語がつけられている・・・
後にトム・クルーズがハリウッドでリメイクしたのが「バニラ・スカイ」
あらすじ:
プレーボーイの主人公は、振った女性に無理心中気味の事故に遭わされ
顔が醜く変貌してしまう。
心も屈折し、女性や友人にも相手にされなくなる悪夢のような状態になり、
やがて本当に夢と現の境がわからなくなっていく・・・
夢か現か、という物語だということは広告などでも謳われているし、
オチも要は夢オチで、ラストでびっくり、という程でもないのだけれど
しかし、それでもおもしろかった。
では、なんでだろう?と考えてみると、
映像と会話のテンポのように思える。
最近の娯楽ハリウッド映画は、やたらにテンポが早く
ひたすら粗筋を追わなければならないという
シドニー・シェルダン張りの作品が多いように感じる。
タランティーノのような、無意味さに意味があると言うか
人間の本能や衝動を描いていれば、それも一つの表現方法なのだろうけれど
本来もうちょっと人間を描いてもいいのでは?という場面でも
軽やかに飛ばされているようで
ミステリー作家言うところの、人間も物語中の一つの駒、
という感が強い映画が増え、
内容がないよう、という状態に陥っている気がする。
それに対して日本映画は、さあここは行間を読むところですよ、
と言わんばかりの間が随所にありすぎて、間延びした感じが強い。
最近宮藤官九郎が人気なのも、
特に会話をはじめとしたその自然な文体と、軽やかなリズムにあると思う。
監督で言えば堤幸彦も同様で、
これまで日本映画に数多く存在した、行間に散らばる無駄を省くことで
軽いリズムと速やかなテンポを産みだし、
それが今支持されているのではないだろうか。
そういう点で、この映画は絶妙だったように思う。
たいして難解ではない物語を映像で不可思議に表し、
わかりづらすぎもせず、簡単すぎもしない。
だから見ているときは謎を解こうと思いつつのめり込んで観るし、
見終わった後も首を傾げずにすんだ。
という感じで、ミステリータッチの物語にしてはオチが弱かったものの
飽きずに観られてすっきりしたし、十分におもしろかった。
あたしとしては、
ギリギリ★★★★★あげてもいいかな?という感じのオススメです。
映画におけるテンポや行間を読ませる空気という意味では
最近観た邦画では「凶気の桜」もけっこう良かったので
次回はその映画のことを。
ーメルマガ「シアターレビュー」vol.21よりー
「オープン・ユア・アイズ」奥付
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